協会報(~239号)

開館時間の延長と時差出勤の導入 -他校舎における開館状況の紹介-

2012年3月29日 10時39分 [管理者]
開館時間の延長と時差出勤の導入 -他校舎における開館状況の紹介-

東海大学付属図書館 難波 良平

 東海大学湘南校舎には中央図書館、11号館分館、12号館分館、13号館分館の4つの図書館があり、中央図書館を中心に各分館は専門図書館として機能している。2000年4月、利用者からの要望により授業・試験期間中における中央図書館及12号
館分館の開館時間を19時から20時へと1時間延長した。

 実施にあたっては約1年前から勤務体制、サービス内容など具体的な運営方法についての検討を重ねた。
 その結果、業務は委託せずに館員と勤労奨学生(大学内で労働することにより奨学金の支給を受けている学生)で担当することとし、従来残業でまかなっていた窓口業務を館員の時差出勤を導入して対応することにした。また勤労奨学生の勤務時間が規則上20時までであるということ、館員の時差出勤による本務業務への影響などを考慮し、開館時間の延長を20時までとした。

 次に延長する館については利用者からの要望も多く、実験等で深夜まで学内に滞留することが多い理工系の学生の利便性を図る意味あいで、総合分野の中央図書館と理学・工学系の12号館分館を延長した。他の2館については時差出勤は実施したが、開館時間の延長は現状では据え置くことにした。
 窓口の勤務体制については、19時までの館は11時から、20時までの館の担当者は12時からそれぞれ本務の業務につき、16時50分から窓口業務を担当することになっている。17時以降は館員1名と勤労奨学生2~3名により窓口業務を行っている。
 1998年度に図書館の組織変更が実施され、それに伴い人員が減少した。その結果17時以降の窓口業務を全館員で分担することになり、開館時間延長についても同様の体制がとられている。各自担当する館が決まっており、概ね月に2回前後窓口業務の時差出勤がある。  

 通常窓口に立っていない者が月に数回、1回につき2、3時間という短時間窓口業務にあたるため、窓口を本務とする館員と比較すると特にレファレンスサービスにおいて若干の差が生じることはやむを得ない。しかしながらその他のサービスや利用者への応対については遜色のないサービスができるように窓口業務の標準化とマニュアルの整備を図ってきた。

 次に他校舎での開館時間の延長に関する事例では清水図書館(静岡県清水市)が通常18時30分までのところ試験期間中は20時まで開館している。ただし18時30分以降は館員が不在となり、閉館までの間は警備員がカウンターに常駐して施錠を行っている。したがって18時30分以降は資料の館内閲覧と複写のみをサービスしており、レファレンスや貸出等のサービスは行っていない。

 伊勢原図書館本館では1993年11月より平日のみ24時間開館を実施している。同図書館の主な奉仕対象者は付属病院の教職員および医学部、健康科学部の学生で、図書館も病院の建物内にあり、特殊な条件下の図書館であるということをご承知いただきたい。運営方法は17時から翌朝9時までを業務委託で行っている。2名の派遣職員が交替で仮眠を取りながら窓口業務の一部を行っている。貸出・返却は、図書館業務のオンラインが終了する22時までとし、22時以降は返却資料を預かることと、複写サービスを行っている。さらに同館は2000年5月より祝日や大学行事など特別な場合を除いて日曜日も10時から21時まで開館している。 派遣職員が業務にあたっており、平日の夜間と同様のサービスを提供している。
 伊勢原3号館図書館は22時まで開館しており、19時から22時までは無人で運営している。この間は入口の自動入退館システムが作動しており、利用者は利用カードまたは学生証をカードリーダーに読ませ正規の利用者と認められた場合に入口ゲートが解錠され入館する事ができる。問題点を挙げるとすれば建物に警備員が常駐していないということであるが、その対応として静粛に利用されるよう監視モニターを設置している。

 中央図書館、12号館分館が開館時間を延長してまもなく1年半が経過しようとしている。現在のところ利用状況は良好で、防犯・安全上特に大きな問題も生じていない。ただ時差出勤による本務業務への影響は、少なからずそのしわ寄せが生じているというのが実情である。
 現在当館では時間帯によって提供するサービスに差をつけていないが、限られたサービスを確実に提供した方が良いのか、多少不安定ではあるが全てのサービスを提供した方が良いのか、開館時間の延長をする上では勤務体制とともに今後の大きな課題といえる。

2012-03-29 [管理者]
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