協会報（～239号）

　図書の返却条件を整えることにより図書館がさらに利用されることを期待して、逗子市立図書館では昨年6月に市内主要駅に図書返却ポストを設置しました。
　設置したのはJR横須賀線逗子駅２台、東逗子駅１台、京浜急行逗子線新逗子駅１台で、各駅の協力が得られ改札口より内側の駅構内に設置させて貰うことができました。
　設置当初は利用者から「本当に利用できるのか」とか携帯電話らしい声で「いまポストの前にいるがだいじょうぶか」と言った問合せがありましたが、設置後2ヶ月目くらいからはコンスタントに毎回の回収が１３０冊前後となっており順調に利用されています。回収作業は、業務委託契約により専門業者が週３～4回、午前中に行っております。
　返却処理にタイムラグが生じるため貸し出し上のトラブル発生について懸念しましたが、貸出冊数限度（6冊）いっぱいの利用者が駅のポストに返却したことを申し出た場合は特別貸出しをしているので、特に目立つトラブルは生じておりません。
　他図書館の返却本の投入についてもこれまでに２件ありましたが、投入した本人から誤返却の連絡があり当該図書館と連絡を取りスムースに解決をしております。困るのは返却本以外のごみなどの投入が多いことです。これはある程度予想はしていましたが、直面してみるといささかカチンとくる現実です。なかでもファーストフード関係の包装紙の投入が一番目立ちます。最も性質のよくないのが飲みさしの空き缶等の投入です。タバコの吸いがらについては、投入口の部分にタバコだけを通す網目のローラーを通してタバコだけは手前に落下する仕組みのものを選択したので安心です。
　駅返却ポスト導入後の効果としては、それまでは図書館本館入り口に設置した返却ポストがあり毎朝の開館前に返却処理をしていましたが、駅のポストへの返却冊数が増えた分だけ図書館本館前は返却冊数が減る傾向となりました。その結果として返却冊数の分散化が図られることとなり、開館時間前に行う書架整理等毎朝の作業に余裕をもってあたることができるようになりました。図書館の利用向上についてですが、現在のところ対前年比の傾向は、活字離れが言われているなか図書館利用者の増加を期待したいところですが現時点 での利用状況の展開についてはあまり変化がありませんので、今しばらく様子をみたいと思います。
　ポストの設置にあたっては、借りた本は借りた場所に戻すのがあたりまえ、と言う意見もありましたが、逗子市は東京方面から鉄道で約１時間の通勤圏であり、サラリーマン、通学者の多く住むベットタウンとして発展してきた街の特徴がありますので、早朝出勤深夜帰宅の駅利用者にとって利用勝手のよい図書返却条件を提供することにより、住み心地のよいまちづくりの一助になるものと考えている次第です。