協会報(~239号)

ITコーナーの開設と運営 -インターネットの利用環境を整える-

2012年3月29日 11時02分 [管理者]
ITコーナーの開設と運営 -インターネットの利用環境を整える-

県立川崎図書館 大塚敏高


ITコーナーの開設
 2001年6月、県立川崎図書館では、利用者自身が自由にインターネットを検索して情報入手を行なうことのできるパソコン14台を1階閲覧室に設置し、ITコーナーを開設した。
 開設のきっかけは、国の施策として展開されたIT講習会のために導入したパソコン機器を講習会終了後にどう活用するかという検討からであった。一方、特許情報の提供方法が「特許電子図書館」に完全にシフトしたこともあって、1998年4月の「リニューアル」以降特許公報類の提供をメインにして運営を行ってきた1階閲覧室のレイアウトやサービスを再検討することも迫られていた。そうした状況のなかで、ITコーナーの開設が考えられたのである。
 開設の目的として次の2点を掲げた。ひとつは、IT講習会終了後のフォローとして、受講者が自主的に再学習する機会を提供するということである。そしてもうひとつが、無視のできない情報源となっているインターネットを無料で利用できる機会を提供しようということである。図書館としては、後者を主たる目的としたいと考えていた。

セキュリティ
 不特定多数の方が利用することになるので、開設にあたっては、セキュリティをどう確保するかが問題となった。怪しげなサイトへの接続を規制するフィルターソフトの導入も検討したが、検索可能なサイトが限定されてしまうことを考えると得策ではないと判断した。ただ、ウィルス対策は重要であるという認識のもと、対策ソフトによって日常的に最新のチェックを行なうようにした。また一層の安全を期するため、FDドライブなどを取り外して個人データの持ち込みはできないことにした。さらに種々の設定を勝手に変更されることのないようソフトウェア的なガードをかけた。

利用の条件
 利用に際して、あまり厳しい規制を設けず、住所、氏名等を利用票に記入してもらうだけで、時間制限なしに利用できるという方法をとった。検索結果のプリントアウトは、1枚10円でOKとした。
 しかし、10月から11月にかけてITコーナー の機器から相次いでウィルスが発見されるという事態が発生した。対策ソフトが効力を発揮し、大事に至ることにはならなかったが、運営方法の再検討を行うこととなった。検討の結果、設置目的を調査研究のために情報検索の機会を提供するということで明確化し、ウィルス感染の可能性が高いと判断したWebメールやチャット、ゲームの利用を禁止事項とした。また、住所を確認して図書館の利用カードを作成することを利用の際の前提条件とすることとした。

利用のようす
 開設後12月までをみると1日平均で約24人の利用がある。11月の運営方法再検討後、利用は落ち着いてきている。(表)最近では、図書館として想定した情報検索のために使っているケースがほとんどといって良い。実に多様な情報入手が行われている状況がある。それを見ているとインターネットの利用環境を整えることは図書館としてごく当たり前のことなのだという思いを強くする。
月別平均利用者数

6789101112total
平均利用者数18.626.430.425.425.721.517.623.9


これからのこと
 現在、館内に「ITコーナー運営検討委員会」を設けて、次年度以降の運営について検討をすすめている。KL-NETから切り離し、プロバイダと契約して、独立した接続への変更を予定している。今後も運営にあたって様々な問題が生じることは予想できるが、その都度最善の方法を探し出して対処していくしかないのではと考えている。生じるかもしれない問題を怖れて立ち止まっているだけでは何も始まらないのではないだろうか。

2012-03-29 [管理者]
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